CASE関連の議論では、コネクテッドや自動運転、MaaS、電動化を技術ごとに別々に評価・分析されることが多かった。だが、今後はこれらを組み合わせた複合的なソリューションやビジネスに注目すべきだ。こう語るのはエム・ケイ・エムのアナリスト森健一郎氏だ。
森氏はレスポンスのセミナー「2030年代に向けた自動車産業の次世代ビジネスモデル」と題する講演を行う。その中では、これまでOEMと販社・サプライヤーによって成立していた自動車ビジネスが、CASEとの融合によってどのように広がり、変わっていくのかを俯瞰した「曼荼羅図」を紹介するという。
■日本はSとAで遅れている?
――セミナーではCASEは個別の技術の話ではないというお話をされるそうですね。
森氏(以下同):これまでCASEといったとき、よく語られていた構図は、既存の自動車業界がC(コネクテッド)、A(L4以上の自動運転)、S(シェアリング=MaaS)、E(電動化)について個別技術の話があり、そこにIT業界の技術やソリューションがどう絡んでくるか、というものでした。
しかし、これから2030年にかけてはC、A、S、Eの各技術がお互いに融合していきます。その組み合わせによって新しい市場やビジネス、あるいはさらなる変革が現実のものとなるとみています。
現状は確かに、コネクテッドや電動化(BEV)の技術や市場が立ち上がり、SやA、MaaSや自動運転の部分で遅れている感はあります。2035年から40年までみたときに、組み合わせによってすべての領域が拡大してくると予想しています。
――コネクテッドやBEVはどちらかというと車両コンポーネントと強く結びついていますが、MaaSや自動運転は単なる技術ではなくそれを使ったアプリケーションやソリューションの話になるということですね。
はい。それぞれの市場予測については、エム・ケイ・エムの独自調査結果などを踏まえてセミナーで詳しいグラフやCASE各分野ごとのロードマップなどをお見せするつもりです。
■海外動向における日本のポジション
––CASEに関する動きはグローバル市場での日本の立ち位置はどう見ていますか?
日本の国内自動車産業は2035年までに市場規模は縮小する傾向にあります。したがって海外輸出と現地生産で伸びていく必要があります。そこで最も競合先となるのが中国です。中国は、BEV、充電環境、電力源(原発)の3点セットを強みに、新興国を中心としたアジア、中近東、アフリカ、南米といった市場への進出を進めてきています。
対抗するには、市場拡大、産業構造変革が必要です。そのために、CASEのそれぞれを組み合わせた新しい市場やビジネスが重要になってくるのです。
――たとえばどんな市場やビジネスが考えらえるのでしょうか。