ユーザー自身が水素を充填できる水素ステーションが開所した。高圧ガス保安規制によって、FCVを乗りつければ、誰もが水素の充填をできるものではない。教育と契約はどのような手順になっているのか。
ENEOS(エネオス)は3月13日、神奈川県綾瀬市のサービスステーション(SS)「綾瀬スマートIC SS」にセルフ充填式水素ステーションを開所している。
エネオスでは「高圧ガス保安規制により、製造事業者が受けている許可に基づく保安体制のもと、製造事業者とFCVユーザーの間で、FCVユーザーが水素充填準備作業を行う契約を結び、かつ必要な保安教育を実施するなどの条件を満たした場合、FCVユーザーがセルフ充填できる」とする。
まずここでの「製造事業者」は、高圧ガス保安法上では綾瀬スマートIC SSの場合、エネオスがステーション運営業務を委託し実際の運営を担うアセントとなる。
「水素充填準備作業を行う契約」はどのような形で結ぶのか? エネオスの場合は、初回充填時に資格を有したスタッフとユーザーとの間でセルフ充填の同意・保安教育を行なう。実際問題として複雑な、時間のかかる作業ではない。一般財団法人石油エネルギー技術センターが2018年に定めた「セルフ水素スタンドガイドライン」ではPOSタッチパネル画面を用いた手続きを提案している。保安教育の内容は、禁止行為・禁止事項、緊急時の対応、充塡準備作業の範囲など。
ユーザーが書面に署名が済ませると、レシートを出力する端末からそのユーザー専用のQRコードが発行される。次回以降の充填時にこのQRを読み取り機にかざすことで、契約済みのユーザーと判定される。QRコードの使い回しを充填前に防ぐことはできないが、決済時のクレジットカード情報(現金不可)との照合や、防犯カメラ映像のデータなどを用いて確認できるようにはなっている。
開所以来の稼働実績は公開されていないが、「トヨタ『ミライ』で来店のユーザーの実績をみていると、だいたい1回あたり3kgくらいの水素を充填する」(エネオス関係者)という。