東京都民はEV(電気自動車)やV2H(自動車・住宅 電力連携)を保有・構築するのにメリットがあるか? 他道府県と違う条件や差があるのか?
なぜそんな疑問を抱くかというと、東京都が打ち出した「太陽光発電設置義務化」というニュースがきっかけ。東京都は、全国で初めて、「新築建物を対象とした太陽光発電の設置義務化」制度を打ち出し、2025年から施行。都民や他道府県民を巻き込んだ議論に波及した。
「間違えないでほしいのは、新築建物が対象で、太陽光パネル設置義務者は、都民ではなく、大手住宅メーカーなど」そう話すのは、「PV EXPO 太陽光発電展」(3月15~17日、東京ビッグサイト)に参加していた東京都担当者。説明によると、太陽光パネル設置義務者は「年間の都内供給延床面積が合計2万平米以上のハウスメーカーなどの事業者」が対象で、しかも新築建築物が対象となり、現存の物件は対象外。
「このあたりが意外と知られてなくて、戸建住宅居住者の電気自動車導入や、都内で新築戸建住宅を建てたいのにネガティブなイメージがあるというデータがある。この太陽光発電設置義務化は、『設置義務者である供給事業者が、注文住宅の施主や建売分譲住宅の購入者などとともに、建物の環境性能向上を推進させていく』という制度」と東京都担当者はいう。
これを知ったうえで、「じゃあ、他道府県と違って、東京都民が太陽光パネルを導入するとなにかメリットってあるの?」と聞くと、こう返ってきた。
「まず毎月の光熱費がこれまでよりも安くなる。たとえば電気代が毎月1万円の戸建住宅に、4kWの太陽光パネルを設置すると、月々7800円、年間9万3600円が浮く。また、約98万円の設置費用が、現在の補助金(10万円/kW)を使えば約6年で回収できる。30年間の支出と収入を比較すると、最大159万円プラスになるうえ、もちろんCO2削減にも大きく貢献する」
東京都によれば、「義務化前に太陽光パネルを設置する都民にも補助金がある」とし、「新築住宅に太陽光パネルを設置したいときは、上限36万円で補助金1kWあたり12万円の補助金支給などがある」とも伝えていた。
日本最大のエネルギー消費地でありながら、大規模発電設備をほとんど持っていない東京都。昨今の太陽光パネル事情をみると、こうしたメリットだけでは太陽光発電設置に舵を切れない人もいるはず。東京都は「東京都環境局 太陽光ポータルサイトなどをチェックしてみて」と呼びかけている。