間もなく訪れる3月11日。それは2011年に発生した東日本大震災から8年たつことを意味する。実は、わが家もその日被災し、およそ1カ月半、上下水道を使えなかった経験がある。避難所に行くまでもない被災だったが、今後、どんな災害に見舞われるかは分からない。日本は地震大国。どこにいても地震が絶対におきない、と言える場所がないのは、九州や北海道でも地震が頻発していることからも想像に難くない。しかし、愛犬家にとって災害はやっかいである。万一、避難所生活を余儀なくされるような事態になった時、環境省による「人とペットの災害対策ガイドライン」によれば、というか常識として家族の一員であるペットと同行避難するのは当然ながら、避難所の建物の中にペットを入れることはまずできない。避難所敷地内で雨風、暑さ寒さに耐えながら過ごさざるをえないのが実情である(避難所の中に入れるよう、要望したい)。そこで、被災した多くの愛犬家は、クルマの中での避難生活を余儀なくされがちだ。プライバシーが守られる空間とはいえ、多くの被災地で報告されるように、車内での窮屈な避難生活(就寝)では、いわゆるエコノミークラス症候群、血栓症を発症しやすいことが分かっている。◆マイ避難所となるうるクルマの条件とは?今回はドッグフレンドリーカーの中でも、災害時に愛犬とともに過ごせるマイ避難所となるうるクルマたちを紹介したい。その条件が下記の通り。1.車内で快適に就寝でき、生活できる空間とシートのベッド化まず挙げられるのは、最低でも家族2人が横になって快適に就寝できるシートアレンジ性を持っていること。つまり、シートリクライニングがほぼ水平までできるか、シートアレンジによって比較的フラットかつ、乗員の身長ぶんのスペースができるかどうか、である。2.AC100V/1500Wコンセントによる電源確保電気の供給が止まってしまった事態を考えると、HVやPHVに備わるAC100V/1500W電源もあるといい。容量以下の家電製品、例えば電子レンジ、コーヒーメーカー、電気毛布、照明などが使える。さらに言えば、家に給電できる『アウトランダーPHEV』や『プリウスPHV』なら災害時の家屋への電源供給車として活躍してくれる。東日本大震災の際、直後にトヨタが多くの『エスティマHV』を集め、被災地に集結し、真っ暗の被災地に明かりを灯したことは今でも語り継がれるエピソードである。3.雨や日差しを遮ってくれるバックドア細かい点では、ミニバンやSUVのバックドアも役立つ。そう、ひさしになるのだ。ラゲッジの後端に座っても、雨や強い日差しを遮る効果がある。4.燃費性能ガソリンスタンドが被災し、燃料の供給がままならなくなったのは、東日本大震災でも経験済み。ガソリンスタンドが仮に営業していても、1台10Lのみ、大行列…という非常事態も予想できる(東日本大震災のとき、わが家の周辺のガソリンスタンドもそうだった)。その場合、普段から満タンを心がける、燃費性能のいいクルマを選ぶことは、災害対応として不可欠と言っていい。充電機能があれば、家庭や外の充電設備からも充電が可能だ。5.被災地でも避難しやすい走破性能最後に、避難はクルマを使わずに…という前提はともかく、災害が落ち着いたあと、被災地からどこかに避難する場合、地震などで荒れた路面を走破しやすいクルマも、強い味方になる。つまり、最低地上高の高いSUVやミニバンである。◆オススメの3台はコレ!以上の要件の多くを満たす3台がコレである。●三菱 アウトランダーPHEVそんな愛犬といっしょに避難する上で最強のドッグフレンドリーカー、マイ避難所となりうるクルマがアウトランダーPHEVである。今や全グレードにAC100V/1500Wコンセント、およびV2H電源供給システムを完備。走破性は三菱のSUVならではの本格性能で、後席をフラットに格納することで長さ約174cm、最小幅約97・5cmのベッドスペースになる。●ホンダ オデッセイハイブリッドHVモデルのセンターコンソール背後にAC100V/1500W電源コンセントがOPで用意されているのがオデッセイ。しかし最大の災害時対応機能と言えるのが、7人乗り2列目プレミアムクレードルシートの寝心地。シート表皮裏に数センチのウレタンパッドが張られ、170度リクライニングが可能。その寝心地、かけ心地はクルマのシートとして最上と言っていい。車内空間そのものの広さ、3列目席を床下格納することで大容量ワゴンとして使えるスペースユーティリティーの素晴しさも、マイ避難所として文句なしである。●三菱 デリカD:5新型デリカD:5にはまだ未試乗だが、ボックス型ミニバンならではの大空間、シートアレンジ性、そして、その実態はミニバンの形をした本格SUV…と断言できる走破性の組み合わせは、移動も含め最強だ。欲を言えば、デリカD:5のPHEVがあると、さらに理想の災害時対応ドッグフレンドリーカー、マイ避難所となりうる。最後に、もう一度、言わせてほしい。災害時には、家族の一員である愛犬とは同伴避難が鉄則。愛犬同伴で避難所に入れない場合に備え、普段から対策を練っておいてほしい。車載用発電機の用意もあるといいかもしれない。そして、クルマを災害時の愛犬とのマイ避難所にする場合、ひとつだけお願いがある。シートアレンジで車内をベッド化したとしても、運転席はつぶさずに、いつでも運転し、走りだせるようにしておくことだ。緊急時、クルマをすぐに動かせないと、様々な意味で危ない…。
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