「セナは公道も走れるレーシングカー。しかも究極の存在である」22日におこなわれたマクラーレンの最高峰モデル『SENNA(セナ)』の日本初披露の会場で、同車のエンジニアリングデザインディレクターを務めたダン・パリー・ウィリアムズ氏はそう語った。マクラーレンのモデルは「Sports」「Super」「Ultimate」の3つのシリーズで構成され、セナは最上級の性能を誇る「Ultimate」にカウントされる。「公道も走れる、マクラーレンの究極のサーキット仕様」という目的で開発され、0-100km/h加速はわずか2.8秒。同0-300km/hは17.5秒。そして800馬力というエンジン出力やわずか1198kgという軽さにも驚かされる。それらの数字を見ているだけでも「究極」という言葉がハッタリでないことがひしひしと伝わってくる。しかし、この日の発表会のステージにおいてクルマの概要を語る彼の口からは最高速度についての説明がなく、スクリーンにも表示されることはなかった(資料には340km/hと記載されている)。その理由について彼は「最高速度は重要ではないから」と説明。続けて「なぜなら、トラッカー(サーキット用モデル)なので、最高速度よりもラップタイムのほうが大切である」との見解を示した。このあたりは最高速度を存在価値の大前提とするブガッティ『ヴェイロン』との違いを明確にしているのかもしれない。いっぽうで対照的だったのが、軽さに対する貪欲な姿勢。「パフォーマンスモデルにとってはニュートンが発見した『運動の第2法則』が重要であり、速さのためには軽さを追求する必要がある」として「フロントフェンダーは(片側あたり)わずか660g」「強いダウンフォースを生むリヤウイングもわずか4.87kg」「シートシェルも(1脚あたり)わずか3.35kg」と具体的な数字を示して軽量設計をアピールした。ところで車名の「セナ」だが、もちろん「音速の貴公子」と呼ばれ日本でも大人気だった伝説的レーサーのアイルトン・セナにちなんだものである。「モータースポーツの栄光の歴史を一緒に刻んできたパートナー。いつまでもチャレンジし続ける彼のDNAが生きている」とマクラーレン・オートモーティブアジア日本代表の正本嘉宏氏は語った。