意外にもエステートの『V90』の全長のほうがセダンの『S90』より30mm短い。バックドアを強く傾斜させてスラリと優雅に見せながら、決して冗長ではないスタイリングの秘訣はその辺りにある…のだろう。ボルボの資料に示されたデータでは、実はラゲッジスペースの容量自体は『V70』比で小さくなっている。とはいえトノカバー下のスペースをメインに使うユーザーであれば、その影響は小さいだろう。むしろ、買い物袋の固定用のベルトの斜め掛け(写真参照)が可能になったり、トノカバーや後席可倒が電動であったり…と、使い勝手が高い点はポイント。上質なトリム素材やスマートなメッキの固定フックなど、作りのよさは相変わらず。オプションで用意されるドッグゲートもボルボのエステート系ではおなじみの専用設計だから、ペットがいるファミリーなら重宝するはずだ。後席スペースはセダンのS90と座り較べて、頭上が格段の広く感じるといった差は小さい。が、ゆったりと楽な姿勢で座れ、幅方向のゆとりの大きさが味わえるのは、このクラスのモデルならではだ。走りは同時に乗ったS90に対し、乗り味に違いがあった。試乗車個体同士で“S”に対し“V”の車重は+40kgあり、それは後軸重の差。またはエステートだから荷重の増加を想定した足回りの設定であるからなのかもしれない。いずれにしろ“V”はやや足の動きが渋めに感じ、それを受け止めるボディの剛性感も“S”に一歩譲って感じられる場面があった。試乗車として下ろされた個体だけのことかどうかは定かではないが、いずれクロスカントリーの試乗も予定しているので再確認したい。動力性能は、車重差などものともしない実力、快活さで好感がもてる。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★★★島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
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