カーオーディオにおいてもいよいよ、本格的な“ハイレゾ”時代が到来しようとしている。とはいいつつも、まだまだこれが何なのか、どのように楽しむべきなのか、ピンと来ていない方も少なくないのではないだろうか。そのあたりについての、改めての解説を試みる。連載第1回目となる今回は、基本事項をおさらいしていく。もうご存知の方も多いだろうが、まずは“ハイレゾ”とは何なのか、からお伝えしていく。■“CD”は“レコード”よりも音が良いと思っていたのだが…。“ハイレゾ”とは、“ハイ・レゾリューション”の略であり、意味は“高解像度”である。要は、「CDを越えたきめ細やかな音源データ」のことを指している。ところで、音楽メディアの主流が、レコード盤からCDへと移り変わろうとしていた1980年代の後半、CDは、レコード盤よりも“音が良い”とする風潮があった。実際、CD再生においては、レコード針がレコードの溝をトレースするときに発生する摩擦ノイズも発生しないので、確かに音が良いようにも思えた。そう感じていたのは、筆者だけではないはずだ。CDの仕組みを聞いても、可聴範囲の音は全帯域にわたって収録されているし、多少音楽信号を間引く的な加工もされるのだが、レコード再生よりも利点も多く、結局のところCDのほうが音が良い、という説明も目にしたものだ。その一方で、「CDよりもレコードのほうが音がいい」という主張も、常に存在していた。そんなこんながありつつも、ここにきて、“CDより音が良い”とされる“ハイレゾ音源”が登場することと相成った。そしてなんと、“ハイレゾ音源”が登場したことによって、「CDでは情報量が間引かれていた」こともクローズアップされることとなり…。■“ハイレゾ音源”は“CD”と比べて分解能が256倍…。さて、“ハイレゾ音源”が音が良い理由は、ざっくり言って、「原音を切り取る際の質が高いから」、ということになる。その“質の高さ”を測るメジャーは2つある。1つは、サンプリング周波数(kHz)であり、もう1つが量子化ビット数(bit)だ。前者は、数が大きいほど高い音まで再現可能だとされていて、後者は、数が大きくなるほどに、より細かい音まで再現可能だとされている。なお、CDクオリティにおいては、サンプリング周波数は、44.1kHzもしくは、48kHz、量子化ビット数は、16bitとなっている。これに対して“ハイレゾ音源”は、サンプリング周波数が48kHz以上、かつ量子化bit数が24bit以上あるもの、とされている。ちなみに、44.1kHz/16bitの音源と、96kHz/24bitの“ハイレゾ音源”との差は、サンプリング周波数(音のきめ細やかさ)が約2.18倍、量子化bit数(分解能の高さ)にいたっては、256倍にも達していると言われている。“ハイレゾ音源”の音の良さは、特に、この量子化bit数の違いが大きく影響しているとも言われている。分解能がここまでの差があるのなら、それもそのはずだ。高性能なシステムでこれを聴き比べれば、音の滑らかさの違いがよくわかる。そして、音楽の説得力、迫力、感動力がガラリと変わる。“ゾクゾク感”が上昇するのだ。音の違いを言葉で上手く言い表せなくても、“ハイレゾ音源”を聴くと、“ゾクゾクする感覚”を味わえる。素直に、“音が良い”と思えるはずなのだ。つまりはCDでは、情報が間引かれていたことで少なからず音が味気なくなっていたという部分もあったこともわかった…。“ハイレゾ音源”の登場により、“情報量という観点でみたとき、レコートのほうがCDよりも音が良い”、ということも明らかとなった、というわけなのだ。今回はここまでとさせていただく。“ハイレゾ音源”がどのようなものなのか、なんとなくご理解いただけただろうか。次回以降は、カーオーディオで“ハイレゾ音源”を楽しもうとするときのスタイルを、1つ1つご紹介していこうと思う。次回以降もお読みいただけたら幸いだ。※このハイレゾ特集は『カーオーディオ』に関する事であって、カーオーディオ以外のオーディオとは異なる場合がありますのでご了承ください。