カーオーディオの取り付けにまつわるノウハウのあれこれを解説している当コーナー。今月は先月に引き続き、ケーブルの取り回しにおいてのいろいろをご紹介していこうと思っている。今週は、スピーカーケーブルをテーマにした考察の2回目をお届けする。今回は、スピーカーケーブルの“継ぎ足し”について考えていく。結論から入りたい。スピーカーケーブルだけに言えることではないが、基本的にケーブルは、継ぎ足すべきではない。良くない理由はいくつかある。まずは、安全性に関するリスクが高まることが、継ぎ足しを行いたくない理由の1つだ。パワーケーブルの解説をしたときにも触れたが、クルマのボディにはマイナス側の電気が流れている。接点部分が万が一外れてプラス側のケーブルがボディ(金属部分)に触れると、一瞬で“ショート”という状態に陥り“ショート”したケーブルに一気に大量の電気が流れる。ケーブルは燃え、最悪、車両火災が引き起こされる…、なんてことにもなりかねない。それによる事故を防ぐために、“ヒューズ”を各所に設定しておくのだが(想定以上の電流が流れた瞬間に、ヒューズが切れて電気の流れを止めてくれる)、ヒューズが設定されていたとしても、“ショート”のリスクはできるだけ下げておくべきなのだ。音に関しても、デメリットだ。接点が増えると、接点の処理を丁寧に行ったとしても、接点がなく1本のケーブルだったときと比べて、伝送効率のロスが発生するからだ。また、グレードの低いスピーカーケーブルを継ぎ足した場合には、その製品の特性が音に出てくる。音質の劣化が引き起こされるのだ。しかし…。逆のことをすると、音が良い方向に変わることもある。使っているケーブルよりも上級なケーブルを継ぎ足すと、そのケーブルの特長がサウンドに好影響を及ぼすことがあるのだ。すべてを買い替えたら相当な金額になるようなハイエンドケーブルを、部分的に数十センチ継ぎ足して、それによりサウンドチューニングを行う、というアプローチは、実は、ナシではない。接点が増えることのデメリットがあるので、積極的におすすめできることではないが、そういう一面があることも、また事実なのである。さて、今週は以上だ。次週からは「RCAケーブル」の取り回しついての考察を行っていく。お楽しみに。