『ルノーの世界』フランスの歴史ある自動車メーカー武田隆 著三樹書房 刊定価:4000円(消費税抜き)ISBN978-4-89522-664-6近年『カングー』や「ルノースポール」シリーズなどの人気モデルを日本市場に導入しているルノー。更に2016年から17年にかけては「アルピーヌ」を復活させるなど、話題に事欠かないメーカーだ。創業は1898年にまでさかのぼるほど古く、その系譜をたどると、当時の欧州の情勢や、ルノーが力を入れているモータースポーツの歴史も見えてくる。ルノーのヒストリーブックは日本において数えるほどしか出版されておらず、そのほとんどが20年近くかそれ以上前に出版されたものだ。今世紀になってからの動向や、デビューしたモデル、デザイントップのヴァン・デン・アッカ―にまで触れられているものは皆無であろう。今回出版された『ルノーの世界』では、1898年の設立当時のエピソードから、最新のアルピーヌ復活の話題まで万遍なく、しかもわかりやすく触れられている。更に、貴重な広報写真などが多数掲載されていることから、当時の正確な仕様を見ることが出来るのも、大きな魅力だ。また、巻末にはルノー関係の年表が掲載されており、ルノーの歴史の集大成といえる。本書の著者、武田隆氏はモンテカルロラリーに魅せられ、また、フランスという国に興味を持ったことから、フランス語を学び取材等で複数回渡仏。その経験や語学力を生かし、これまでにシトロエンの歴史書を2冊上梓している。今回は同じフレンチメーカー、ルノーの歴史について取り組んだ。武田氏は、「歴史書ではあるものの、肩肘張らずにわかりやすく楽しんでもらえるよう執筆した」とコメントするように、興味のある章を拾い読んでもルノーの歴史の一端がわかりやすく記され、その世界観に触れることが出来る。ルノーの歴史の入門書としても、改めてルノーの歴史を振り返りたいという向きにもお勧めできる良書である。