「仰臥位=仰向けで寝るのは人間の赤ちゃんだけ。手が自由に使えるようになり、二足歩行をするようになり、人類の発達の元になった」と説明するのは、同志社大学赤ちゃん学研究センターセンター長の小西行郎先生だ。アップリカ・チルドレンズプロダクツ合同会社では、 平らなベッド型チャイルドシート「フラディアグロウ」シリーズの、日本初のISOFIX固定タイプ『フラディアグロウISOFIX』を12月2日に発売。同製品の発売に先駆けて11月30日、「新生児の理想の姿勢」をテーマに、東京都内のホテルでセミナーを開催した。小西先生は「最近の研究で、赤ちゃんは自ら行動し、変化を学習していることがわかってきた。仰臥位でいるときの赤ちゃんの手足の動きにはなんらかの意味がある」という。そして、赤ちゃんは腹式呼吸が多い、筋肉や骨格が弱い(座らせると首がグラグラする)、血流の自動調整が難しい(長く座らせると頭の血流が減る)といったことから、仰臥位の利点を説明した。フラディアグロウの開発には国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)が協力し、産総研が開発した製品開発のプラットフォーム「DhaibaWorks(ダイバワークス)」が用いられた。DhaibaWorksでは「Dhaiba」(ダイバ)というデジタルヒューマンモデルが使用される。フラディア グロウの開発では、世界初の高精細ベビーバリエーションモデル「DhaibaBaby」を、月齢こど0~13か月の14体を作成した。ちなみに「Dhaiba」(ダイバ)という名称は産総研の施設のひとつがある東京の「台場」にちなむ。産総研の遠藤維氏は、「経験ノウハウに客観データを取り込む」とDhaibaWorksの特徴を説明する。「製品使用時の状況を可視化できる。赤ちゃんの3次元デジタルモデルを使って、赤ちゃんを平らな状態に寝かせたとき、シートが体を均等に支えているかを確かめた」。チャイルドシートの性能のひとつの指標である頭部安定性数値は、従来品が13であるのに対し、新製品は51だという。同じ指標ではベビーベッドが61になる。アップリカR&D本部の河野治生氏は、安全性について「衝突事故の衝撃波25Gにもなる。レーシングカーの急ブレーキが1Gぐらい」と、チャイルドシートの必要性を訴求、その上で、「チャイルドシートに快適性をどの程度求めるかが重要になってきている」とする。アップリカのマーケティング本部の東猴直子氏は「乳児シートの56.2%に取り付けミスがある。その原因として、腰ベルトの締め付け不足が77.7%でいちばん多い。赤ちゃんが加わった家族は新車を購入することが多く、新車には2007年からISOFIXが装備されているので、ISOFIX対応チャイルドシートの需要は増加する」と市場を分析した。