カーオーディオユニットの取り付けには、さまざまなノウハウが存在している。その1つ1つを詳細に解説している当コーナー。今週は、トゥイーターの取り付け位置についての考察を、前回に引き続いて行っていく。今回は「ダッシュボード上」をテーマに検証していく。「ダッシュボード上」は、トゥイーターを取り付ける場所として、もっとも手軽な選択肢と言っていい。前回に解説した「純正位置」も取り付けやすい場所ではあるのだが、取り付け可能なトゥイーターが限られる。純正トゥイーターが埋め込まれていた場所のクリアランスの問題があるからだ。しかしながら「ダッシュボード上」では、大きさの制限はそれほどはない。しかも、取り付け作業が簡単なケースも多い。スタンドが用意されているモデルであれば、スタンドの固定は両面テープで行えたりもするので、作業の難易度も比較的に低い。音的にも利点がある。特に「純正位置」の中でもダッシュボードに埋め込まれる場合と比べての利点は相当に大きい。向きや置き場所の自由度が高くなるので、サウンドをコントロールしやすくなるのだ。そして何より、スピーカーと正対できることがメリットだ。スピーカーとは、正対して聴いたほうが多くの情報を受け取れる。しかも高音は指向性が強いので、その傾向がより顕著になっていく。トゥイーターをダッシュボードの上に置いて向きをリスナー側に向けることで、ダッシュボードの「純正位置」に埋め込むよりも、直接音をたくさん聴き取ることができるようになるのだ。ただし、向きにはいろいろな考え方がある。運転席のリスナーに正対させるやり方、運転席と助手席の間に向けるやり方、左右のトゥイーターを向き合わせるやり方などなど。トゥイーターのタイプによってそれらを使い分けているショップもある。この件については、改めて解説する。なお、「ミラー裏」や「Aピラー」に比べて、「ダッシュボード上」には不利な点が2つある。1つは、ダッシュボードの反射の影響を受けやすいこと。“ダッシュボードの上”、という性格上、ダッシュボードのパネル面との距離が近い。ゆえに、音の反射が多く引き起こされるのだ。そしてもう1つは、左右の幅を目一杯取れないこと。ダッシュボード上に置くと、自分と近い側のトゥイーターは自分の真正面に近い位置にきてしまうこともある。しかしながら本来は、トゥイーターはできるだけ外側にあったほうが良い。そのほうが、サウンドステージの左右の広がり感を出せるのだ。その点においては、「ダッシュボード上」には限界もある、というわけなのだ。今週はここまでとさせていただく、次週は「ミラー裏」と「Aピラー」について考察しながら、トゥイーターの理想的な取り付け方について、さらに深く検証していく。次週もお読み逃しなきように。