クルマの中は、好きな音楽を楽しむ場所として、好条件がそろっている。音量の自由度は高く、まさしく腰を据えてじっくりと音楽と向き合うこともできる。場合によっては、サウンドと景色がシンクロして楽曲の魅力がさらに高まり、感動がより大きくなることもある。ところが…。ステレオを正しく再現しようと思ったとき、車内には音響的に不利な条件も多々ある…。左右のスピーカーから等距離の場所で音楽を聴けないことや、ガラスやパネルでの音の反射とシートや布製品での音の吸収によって周波数特性が乱れる等々、サウンドの質を乱す要因がさまざま存在している…。それらに対処しようとするのが、「サウンドチューニング」、というわけだ。それについてのノウハウの数々を解説すべく、当連載をスタートさせた。まずは、初歩の初歩から話を始めている。もっとも基本的な「サウンドチューニング」機能である「バランス」と「フェーダー」について、その使いこなし術をレクチャーしている。今回は、「フェーダー」について話を進めていこうと思う。まず「フェーダー」とは、前回の記事でも説明したとおり、“前後の音量バランスを整えるための機能”である。そして多くの人がこれを、“センター”に合わせていると思うのだが…。実はこれは、ステレオの理屈から言うと、あまりおすすめできる運用方法ではない。ステレオは、音楽を左右のchに分けて録音し、それを左右のスピーカーで再生して、音楽をリアルに感じ取ろうとするものだ。あくまでも、スピーカーは2本あれば十分なのである。実際、ホームオーディオでわざわざスピーカーをリスニングポジションの後ろに設置する人はほとんどいない。音声がそもそも5.1ch分に分けて収録されている映像作品を観るのでないのなら、スピーカーは2本あればオッケーなのだ。後ろから音が聴こえてくることで、目の前に広がるべきサウンドステージが不自然に後ろに感じられ、音像もぼやけていく…。ということで、「フェーダー」は、“10:0”でフロント側に振る、のが正解なのである。後部座席に人が乗っている場合は、音を聴こえやすくするために“5:5”にするのはアリなのだが、車内にはスピーカーは左右2本だけあればいいので、それでも、“10:0”で間違いではないのだ。「フェーダー」は“10:0”が基本。そう理解していただきたい。と、いいつつ…。実は、「ちょっと後を鳴らす」というチューニングテクニックも存在している。それについては次回にじっくりと解説していこうと思う。次回の当コーナーも、要チェック。
【サウンドチューニング・マニュアル】上級機の「サウンドチューニング能力」の実際を検証! Part.4 『ダイヤトーンサウンドナビ・NR-MZ100PREMI』その22016.9.10 Sat 10:00
【サウンドチューニング・マニュアル】上級機の「サウンドチューニング能力」の実際を検証! Part.4 『ダイヤトーンサウンドナビ・NR-MZ100PREMI』その32016.9.11 Sun 12:00