世界のEセグメント車のベンチマーク、メルセデスベンツの『Eクラス』がフルモデルチェンジ。5代目へと移行した。メルセデスベンツには何種かの基軸があるが、セダンのFRを基本とするもっとも中核となるモデルは『Cクラス』、「Eクラス」、『Sクラス』の3種となる。今回、フルモデルチェンジを受けたEクラスは、そのFRセダン系の中間を形成。世界のEセグメント車のベンチマークと呼ばれるほど、その注目度は高い。今回、日本に導入されるモデルは2リットル・ガソリン、2リットル・ディーゼルターボ、3.5リットル・ガソリンの3種のエンジンが用意される。今回試乗したモデルは、2リットルのガソリンエンジンを搭載する「E200アバンギャルドスポーツ」。ベンツのEクラスが悪いはずはない。多くの関係者がそう思っているなか、試乗しての私の印象は「やはり間違いないクルマ」というものだった。そつのない作りが、クルマのあらゆる部分に行き渡り、しっかりとした走りを手に入れている。先にも書いたがEクラスは下にCクラス、上にSクラスを持つFR系セダンだ。先代でも感じたのだが、EクラスはCクラスに近づいたような印象を受ける。いや、Sがさらに上を目指し進化、Cクラスが上質さを増すなか、CとEの差が埋まってきているのだ。だからと言って、CでEのラグジュアリー感を得られるわけではない。Eはしっかりとしたラグジュアリー感を確保しつつ、Cのような軽快感を増している。エンジンのトルクは低速からグッと盛り上がり、9速のATを介してタイヤに伝えられる。強すぎず、弱すぎず、クルマを加速していくこのトルク感は、ラグジュアリーモデルにとっては命。車内の豪華な装備や乗り心地のいいサスペションがラグジュアリーを生むが、もっとも大切なのはやはり加速感。人は自分の持つ力を増大するためにクルマに乗る。その最たるものは加速や速度だ。余裕をもって速度を上げて行く様子は、生身の人間では得られない。それを与えてくれる加速感こそ、ラグジュアリーの極みと言える。もちろん、乗り心地やハンドリングについてもEクラスはバツグンに気持ちいい。ただ、ひとつ気になったのは、ある一定の段差越えなどでは車体がブルっとすること。ほかの部分が完ぺきに近い仕上がりだけでに、ここが気になる点となった。今回のEクラスは、追従型のACC、自動ブレーキ、レーンキープアシストなどがさらに進化したものとなった。なかでもACC作動中にウインカーを作動させると、周囲の安全を確認して車線変更を行う「アクティブレーンチェンジングアシスト」は、人間が周囲を確認して車線変更するよりも高い安全性が確保される。ウインカー作動からクルマの動き始めも、ギリギリ3秒確保されている感じだ。Eクラスの車両本体価格は、675万円~という設定。ブランドを所有するという要素も入れ込んで考えば、高すぎるということないだろう。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★諸星陽一|モータージャーナリスト自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
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