カーオーディオ製品は、ただ装着すれば良い、というものではない。音響的なコンディションを整えたり、スピーカーボックスを作ったり、オーディオシステムを“製作する”という作業を伴う場合がほとんどだ。果たしてそこにはどのようなノウハウがあるのだろうか…。それを1つ1つ解説しながら、カーオーディオの奥深さを紐解いていく。今週からは、“インナーバッフル”について掘り下げていく。まずは、言葉の意味から解説していこう。“バッフル”という言葉にはいくつかの意味があるのだが、「流れを止める」とか「(進路などを)妨げる」という意味があり、オーディオにおいては、「スピーカーの表側から出る音と、裏側から出る音を遮る板」が、“バッフル”と呼ばれている。しかしながらカーオーディオにおける“インナーバッフル”は、音を遮る役目は果たしていない。では、どのような役割を果たしているのかというと…。役割はいくつかある。まず1つ目の役割は、スピーカーを装着するための“ウケ”となること。スピーカーごとで取り付けるためのネジ穴の位置が異なるが、“インナーバッフル”を用意してこれをあてがえば、これがネジを受ける土台の役目を果たし、スピーカーを鉄板に装着することが可能となるのだ。2つ目の役目は、スピーカーを立ち上げるための“ゲタ”となること。スピーカーを取り付ける面(鉄板)の奥には、窓ガラスが降りてくる。もし鉄板にスピーカーを直付けしたら、窓ガラスまでの奥行きが短く、装着できるスピーカーが限られてしまう。しかし“インナーバッフル”を用いれば、スピーカーを鉄板のツラから持ち上げることが可能となり、装着可能なスピーカーを増やすことができるのだ。そしてさらに、“インナーバッフル”には音響パーツとしての役割もある。それについては次週に解説する。次回の当コーナーも、お読み逃しなきように。