昨年11月に華々しくデビューした、国産ハイエンドカーオーディオブランド“DIATONE(ダイヤトーン)”のフラッグシップスピーカー、『DS-SA1000』。この至高のスピーカーの魅力・実力を改めて検証すべく、2店のカーオーディオ・プロショップを取材した。そのリポートを2回にわけてご紹介していく。まず今回は、茨城県の名店、“クァンタム”で製作された、1台のユーザーカーを取り上げる。取材したのは、揚妻文隆(あげつまふみたか)さんが所有する、メルセデス-ベンツ・A180。搭載システムは、『DIATONE SOUND.NAVI NR-MZ100PREMI』+『車載用DIATONEスピーカー DS-SA1000』。『DIATONE SOUND.NAVI』の内蔵アンプでフロント2ウェイをドライブするという、ミニマムなハイエンドシステムを搭載している秀作カーだ。■ホームオーディオに親しみながら、カーオーディオには懐疑的な思いを抱いていたのだが…。早速、揚妻さんが『DS-SA1000』を選んだ理由をご紹介していこうと思うのだが、そのためには、そこに至るまでの揚妻さんのカーオーディオ遍歴をお伝えする必要がある。興味深い話がたくさん聞けたので、じっくりとお読みいただきたいと思う。揚妻さんがカーオーディオを趣味として楽しむようなったのは、2年ほど前からだ。ホームオーディオは70年代から80年代にかけてのブームのころから親しんでいたのだが、それに比べると“歴”は短い。カーオーディオにも興味がない訳ではなかったのだが、触手を伸ばさなかったのは、懐疑的に思っていたからだ。というのも、走行すればエンジン音やロードノイズも出る。その中では良いシステムにしたところでも、あまり意味がないように思えていた。さらには、製品代以外の予算をイメージしづらく、カーオーディオ・プロショップに対しての敷居の高さも感じていた。ホームオーディオの場合は、製品さえ買えば、基本的にはそれ以外の予算を必要としないので、次の計画が立てやすいのだが、カーオーディオではそうもいかないように思えていた。ただ、“クァンタム”の近隣に住んでいて、お店の前の道をクルマで走ることも多く、1度寄ってみたいとは前々から思っていたという。そして、たまたま数万円のミドルグレードカースピーカーを手にする機会があり、それを持ち込みで取り付けてもらおうと、“クァンタム”の門を叩いた。かくして完成に至ると…。工賃は案外明瞭であり、何より音の変わりように驚いた。走行中に聴けば確かにロードノイズ等、音を邪魔する要素はあるが、代わりにクルマの中では好きなだけ音量を上げられる。これはホームオーディオでは得られない利点だ。結果、ロードノイズが気になることもあまりなく、トータルでの満足度はなかなかに高かった。そしてその数か月後に、揚妻さんを本格的にカーオーディオの世界に引き込む新製品が世に現れる…。2015年の秋の話だ。■『DIATONE SOUND.NAVI』ならば、合理的に良い音を追求し、実現可能。その新製品の名は、『DIATONE SOUND.NAVI NR-MZ100PREMI』。『DIATONE SOUND.NAVI』のことは前から気になっていたのだが、初のフルモデルチェンジが成されたニューモデルは、特に各所で評判が高かった。揚妻さんはその音を“クァンタム”で聴き、衝撃を受ける。この内蔵アンプで同じく車載用DIATONEスピーカー、『DS-G500』を鳴らすシステムの音を聴いたのだが、まずはその高音質ぶりに驚いた。そしてさらには、ナビの内蔵アンプでその音が聴けることに、大きな可能性を感じたのだった。ホームオーディオでも音質を突き詰めていこうとすると、“マルチアンプシステム”に行き着くのだが、そうするとシステムは巨大化し、コストもかかる。『DIATONE SOUND.NAVI』ならば、内蔵アンプで合理的に、しかも高音質に、フロント2ウェイを“マルチアンプシステム”で鳴らすことができるのだ。さらによくよく考えてみると、ホームオーディオでは製品さえ買ってくれば簡単に音が出せる半面、リスニングルームのコンディションを改善しようと思うと、ハードルは相当に高くなる。部屋を改築する必要も出てくるし、電源にこだわろうとすれば大がかりな工事をしなければならない場合もある。しかしカーオーディオでは、高精度なチューニング機能を高度に操る技術さえあれば、リスニング環境をコントロールすることがたやすい。電源の強化についても、現実的なプランが多々ある。揚妻さんは、いざ取り組んでみて初めて、カーオーディオの合理性に気が付いた。そしてその中でも、『DIATONE SOUND.NAVI』ならさらに効率的に良い音を追求できることがわかり、これに惚れ込んだ、という次第なのだ。■『DS-SA1000』との、運命的な出会いは突然やってきた…。こうして揚妻さんは、当時の愛車のヴェルファイアに、『NR-MZ100PREMI』+『DS-G50』を搭載することを決断し、このシステムで新たなカーオーディオ・ライフを送るようになった。さて、ここからは少々複雑なカーオーディオ遍歴となるので、かいつまんでご説明していこう。揚妻さんはそのシステムを積んだヴェルファイアを、早々に息子さん家族へと譲る。息子さんご夫婦にお子さんができたことにより、ミニバンが必要となったからだ。で、次の自分のクルマは何にしようかと考えたそのタイミングで、“クァンタム”が製作したダイヤトーンのデモカー、メルセデス-ベンツ A180 スポーツの音を聴くこととなる(システムは『NR-MZ100PREMI』+『DS-G500』+『SW-G50』)。その音に感動した揚妻さんは、自分も同じベースカーで同じ音を得たいと考えて、今も乗っている“メルセデス-ベンツ A180”を購入。そしてデモカーにならいスピーカーを『DS-G500』へとステップアップして、『NR-MZ100PREMI』とともに搭載した。ただ、この段階では諸事情により、サブウーファーは未搭載。そしてその状態で半年乗るのだが、やはりサブウーファーを搭載しようと考えて、またもや“クァンタム”を訪れる。そこで揚妻さんは、今回の話の主役である『DS-SA1000』と運命的な出会いを果たす。店頭のデモ機で、『DS-G500』と『DS-SA1000』の聴き比べができるようになっていたのだ。2016年の暮れの出来事だ。揚妻さんは、『DS-SA1000』のサウンドに、完全に魅了されてしまう。『DS-G500』ユーザーであっただけに、その新フラッグシップスピーカーの良さを、まざまざと思い知らされてしまったのだ。揚妻さんは、サブウーファーの追加はひとまず後回しにして、フロント2ウェイスピーカーの交換に踏み切る。こうして、『DS-SA1000』を中心とする現在のシステムが完成されることとなったのだ。■今では、渋滞も苦にならない。アイドリングストップにより、むしろ高音質で音楽が楽しめる…。その音を試聴させていただいたのだが、豊潤な響きに、ただただうっとりとさせられるばかりだった。倍音がスムーズに、そして幾重にも重なっていて、音色がなんとも耳に心地良い。そしてS/N感が至って良好で、1音1音が空間の中にくっきりと浮かび上がる。音量の小さな繊細な音符も、埋もれることなく凛とした光を放つ。揚妻さんは、愛車のサウンドについて、こう話してくれた。「今や、クルマで聴く音のほうが完成度が高いですね。特に、ヴァイオリンの音色などは、家で聴くとちょっと違う楽器のように感じてしまう。クルマの中で聴くような響きが再現できないんです。最近は、仕事の関係でクルマに乗る時間が長くなっているのですが、渋滞も苦にならなくなりました。むしろアイドリングストップが効いて、最良のコンディションでこのクルマの音を堪能することができるんです。クルマに乗るのが楽しみになりましたね。ホームオーディオを鑑賞する時間は減ってしまいました(笑)」DIATONEによって、揚妻さんのカーライフは完全に変化した。むしろ、ライフスタイルまでも変えさせたと言っていいだろう。ホームオーディオを趣味としていたからこそ、カーオーディオの良さを見抜くことができ、そしてその魅力にますます魅了されている、というわけだ。なお、揚妻さんは、さらなる音質アップも目論んでいる。ここまできたら、『DS-SA1000』の能力を100%味わい尽くしたい、そう考えているのだ。そうして今、外部パワーアンプとサブウーファー『SW-G50』に追加に取り組んでいる。この取材のすぐあとにクルマを“クァンタム”に預け、それらをインストールするとのことだった。今回、揚妻さんのメルセデス-ベンツ A180を取材して、ホームオーディオと比べたときのカーオーディオの良いところを再認識することができた。ホームオーディオを親しんでいる方々にも、カーオーディオをお薦めしたいという思いも新たにした。そして、『DIATONE SOUND.NAVI』ならば、それを手頃なシステムから楽しむことができ、さらには『DS-SA1000』ならば、とことんハイエンドを追求していくことが可能だ。揚妻さんのメルセデス-ベンツ A180のサウンドが、今後どのように磨き込まれていくのかにも、興味津々だ。再会を楽しみに待ちたい。