カーオーディオに興味を抱いている方々に向けて、その“始め方”と“楽しみ方”をご紹介していく特集を開始する。毎回、実力カーオーディオ・プロショップを取材して、ボディタイプ別にその傾向と対策をじっくりとお訊きする。第1回目となる今回は、福岡県の人気店“施音人工房(さうんどこうぼう)”の谷口さんに講師役をお願いした。“Kカー”をベースとするときの“始め方”と“楽しみ方”について、詳しく教えていただいた。■純正スピーカーが小口径タイプだった場合は、“+パワードサブウーファー作戦”が有効。早速本題に入りたい。まずは、“スピーカー交換”についてお訊きした。カーオーディオの初めの1歩といえばやはり、“スピーカー交換”だ。ベースが“Kカー”である場合の、そのコツを教えていただいた。谷口「かつては、“Kカー”の純正スピーカーと言えば、10cmとか13cmといった小口径タイプが多かったのですが、最近ではほとんどの車種で、17cmクラスのスピーカーが装着されています。そうであるのなら、交換するスピーカーも17cmクラスを選ぶのがベストです。費用をかけずに装着しようと思うなら、純正スピーカーと口径をそろえることが鉄則です。敢えて小口径モデルを選んでも、メリットはありません。逆に、純正スピーカーが小口径タイプで、それがダッシュボードに装着されている車種の場合には、大きな口径のスピーカーにしたほうが、音質的にはメリットが得られます。しかしながら、費用はかさんでしまいます。17cmタイプのスピーカーをドアに装着しようとしても、ドア内部のクリアランスが足りないケースがほとんどですので、アウター化(内張りパネル面にスピーカーの取り付け面を出す装着方法)せざるをえませんから。予算を度外視しても音にこだわりたい場合はアウター化がおすすめですが、そうでないなら、同口径タイプにしたほうがいいと思います。もしも、低音の再現性にもこだわりたいとおっしゃるのでしたら、あわせてパワードサブウーファーの装着をお薦めしたいですね。低音再生はパワードサブウーファーに任せる、という作戦のほうが、ドアに17cmクラスのスピーカーを取り付けるよりも費用は抑えられるはずですし、音質的にも有利ですから」■パワードサブウーファーの導入の前にやっておきたいこととは?スピーカー交換において、さらに以下のようなコツも教えていただいた。谷口「ドアに17cmクラスのスピーカーが取り付けられるタイプだった場合でももちろん、パワードサブウーファーも同時に導入されれば、低音再生には利得があります。しかしながら、パワードサブウーファーを導入するより前に、やっておきたいことがあります。それは、ドア内部の“デッドニング”です。“Kカー”では、ドア内部の剛性が十分に確保されているとは言い難い場合が多いんです。ですので、“デッドニング”の必要性は、他の車種以上に高いですね。というわけでまずは、ドアのスピーカーをしっかり鳴らすことに予算をかけられたほうがいいと思うんですよ。17cmタイプなら、“デッドニング”に手を掛けることで、ある程度までは低音も出せますし。そして将来的に低音強化を実践するときにも、ドアのスピーカーがしっかり鳴っていたほうが、効果は大きいです」それに関連して続いては、ユニットタイプのサブウーファーを導入する際のコツをお訊きした。谷口「“Kカー”の場合、車室内の空気の容量が少ないので、小口径タイプを選んだほうがいい、ということも言われたりするのですが、当店としては、小さめとは言っても、25cm以上のモデルをお薦めしています。ローエンドまでレンジを確保したいと思う場合には25cm以上ほしい、というのが、経験上での私の持論です。測定機で測っても、それ以下の口径だと、不利は否めないんですよ。なお、ボックスは“シールド”タイプが良いと思います。“バスレフ”にするとどうしてもボックスが大きくなってしまいますから、“Kカー”にはスペース的に不利ですよね。とはいえ、何を優先させるかで、やり方は変わってきます。そのあたりは、お店とじっくりと相談していただきたいですね」■トゥイーターの取り付け場所は、Aピラーが無難。しかしながら注意点もある!最後に、トゥイーターの取り付け方について、“Kカー”ならではの注意点があるかどうかをお訊きした。谷口「カスタムインストールをする場合、Aピラーかミラー裏か、という選択肢になるわけですが、“Kカー”の場合は、Aピラーに付けたほうが無難ですね。ミラー裏だと、リスナーとの距離が、他の車種以上に近くなります。なので、もろもろをコントロールするのが難しくなるんですよ。特に、角度決めがシビアになります。運転席のリスナーにとっても、助手席のリスナーにとっても、どちらにとっても条件の良い角度を見つけにくいんです。チューニングをする際には、運転席のリスナーに対してのベストを探っていくことにはなるのですが、取り付けの時点では、助手席のリスナーのことも考慮したいと、私は考えています。その観点では、Aピラーのほうがやりやすいんです。あと、トゥイーターはリスナーから遠い場所に取り付けたほうが、音像を作りやすい、ということも言えます。その観点でも、Aピラーが有利だと思うんです。ただし、フロントガラスの反射の影響は、できる限り少なくしたいところです。遠くに置くあまり、フロントガラスに近づき過ぎるのも良くないと思っています。ちなみに、車高の高いタイプの“Kカー”の中には、Aピラーが2分割されている車種もありますが、その場合は、手前側のAピラーに付けるようにしています。そのほうが、いろいろな要素をバランスさせやすいんです」谷口さんにお訊きした話は以上だ。“Kカー”オーナーの方々の、今後のシステムアップのご参考にしていただけたら幸いだ。なお、カーオーディオでは、いい音を得るための道筋は、さまざまある。使用するユニットによって、そして何を優先させるかによってケースバイケースだ。通っているお店の方とじっくりと相談しながら、自分にとってのベストプランを見つけてほしい。さて、次回はガラリとタイプを変えて、“ミニバン”について考えていく。“ミニバン”オーナーの方は特に、お読み逃しのないように。