革新性に惹かれて『Full Digital Sound』に興味を持ち、そしてそれを手にして大きな満足感を得ている原田さんの楽しそうな表情を見て、話を聞きながらうれしくなった。
原田さんを楽しませているその音を、実際に聴かせていただくと…。
最初に感じたのは、“アナログっぽさ”だった。音の輪郭のシャープさや、クリアさ、反応の速さ等々、『Full Digital Sound』ならではの良さは十分に出ている上で、そこに暖かみもしっかりと宿っている。
後から、“EAST”のカーオーディオ担当・藤原さんにお話を聞いてわかったことだが、そのあたりはまさに狙ったところ、とのことだ。『Full Digital Sound』の性能を引き出しながら、上質なアナログシステムを聴いているかのような気分に浸れる…。そんなサウンドを目指してチューニングにあたったという。
『Full Digital Sound』の存在意義と、懐の深さを再認識できた。『Full Digital Sound』には“買う理由”がしっかりある。大ヒットしているのも頷ける。
『Full Digital Sound』が搭載されていたのは、「アルファロメオ・GTクーペ」だ。『Full Digital Sound』によるフロント2ウェイ+サブウーファー(1発)という基本レイアウトが敷かれている。
ソースユニットは3タイプを使用していた。『Full Digital Sound』のデジタル入力の2系統に、ハイレゾ対応デジタルオーディオプレーヤーと、HDDを接続可能なデジタルメディアプレーヤーをそれぞれ繋ぎ、アナログ入力にはナビの音声を入力。ハイレゾ音源を聴きたいときにはハイレゾプレーヤーを、大量の音楽データを持ち込みたいときには、デジタルメディアプレーヤーを、という使い分けができる。
「『Full Digital Sound』であれば多彩なソースユニットを楽しめることを、提案したいと思っています。デジタルトランスポーターを用いなくても、ダイレクト接続可能な機器が多いので、この利点が活きてくるんですよね。
そして、『Full Digital Sound』に興味を持つであろう人にとっての、現実的な取り付け方をしたいと考えました。『Full Digital Sound』に関心を持たれる方は、システムは軽いほうが良いと思っているでしょうし、見た目的にもできるだけさらっと付けたいと思っているのではないでしょうか。
システムを発展させる楽しみも味わいたいと思われる方はアナログシステムを選ぶでしょうし、そのような方ならばアウターバッフルにも興味があるとは思うのですが、『Full Digital Sound』を選ばれる方は、後付け感が出ない方向性を望まれるケースが多くなるだろうと考えたんです。ドア内部のデッドニングはスタンダードメニューを施してあります。見えないところには手をかけてありますが、表面はできるだけ純正のままで」
なるほど、つまりは、『Full Digital Sound』の良さを伸ばすことが考えられていて、音質性能の部分も含めて、“らしさ”を最優先している、というわけなのだ。
そして岩田店長は、さらにこんなことも教えてくれた。
「サブウーファーを入れずに、フロント2ウェイで完結させても面白いと思っています。そうすることで、軽さや後付け感が少ないといった『Full Digital Sound』ならではの良さが、さらに伸びますから。やり方次第では、サブウーファーなしでも、良い線のサウンドは作れると思います。
逆に、アナログ出力を使って、アナログパワーアンプ+アナログサブウーファーを入れてみるのも良いですね。そのほうが、重心の低いサウンドは作りやすい。ただ、この方法を取ると話が変わってしまうのですが(笑)。でも、こうでなくてはいけない、というものではないんですよ。『Full Digital Sound』にはさまざまな可能性がある、とも思っています」