2006年のデビューから10年。『エスティマ』が生まれ変わった。日本を代表するスタイリッシュミニバンのエスティマはまだまだ現役、どころか今回のビッグチェンジで強豪ライバルとも互角に戦える完成度を持つに至っているのだからびっくりだ。ここではベースグレードとなる、しかしボディー前部にG'Sが使うようなヤマハ製パフォーマンスダンパーを装備し、今では全車エアロ仕様のアエラスとなった2.4リットルのガソリン車に試乗した。ハイブリッドモデルとの違いは駆動方式(こちらはFF)、18インチタイヤの採用(HVは17インチ)、そして200kg近く軽い重量差だ。走りだせば、重厚感が基本のハイブリッドに対して比較的軽量なガソリン車は圧倒的に軽やか。車重に対して動力性能的も十二分。出足からスッと軽やかに加速し、爽快感あるドライブフィールが心地良い。全体的なクルマの動きはハイブリッドより明らかに軽やかでキビキビしている。ハイブリッド同様、パワステとともに改良された足回りはなんともしなやかに動き、カーブではじわりとロールしつつ、18インチタイヤの恩恵もあって安定感・安心感は想定外に高く、たとえつづら折りの山道で先を急ぐような走りを試みても4輪のタイヤは終始路面をしっかりとトレース。うねり路に遭遇しても姿勢を大きく崩すことなくしなやかに駆け抜けられてしまうのだから恐れ入る。もちろん、17インチタイヤを履くハイブリッドに比べ、18インチタイヤを履く乗り心地は荒れた路面ではゴツゴツ感が、大きめの段差ではそれなりのショック、入力を伝えてはくるものの、それでも不快と感じる領域には至らない。ちょっと硬めのスポーティーな乗り味、と解釈すべきだろう。実にエスティマ史上最上の走りの質感、安定感を披露してくれたのである。パワー的には同じ2.4リットルの排気量のエンジンに前後モーターを加えたハイブリッドよりむしろ力強く、爽やかに速度を上げていく。ただ、エンジンは6000回転までスムーズに回り切るものの、高回転での咆哮はハイブリッドよりワイルド。ところでほかの多くのミニバンもそうだが、乗り心地面で最上なのは1列目席。エスティマの場合、2列目席はシート取付部剛性の取りにくいロングスライド機構と重く重心の高いキャプテンシートによって、路面によっては細かい振動が気になることがある。また、シートがボディー左右でも支えられている3列目席はブルブルした振動が少ないかわりに、段差越えなどでのゴツゴツ感が気になる場面もありがち。床下格納前提のシートのホールド感はほぼないに等しいから、山道などでは体が左右にゆすられがちな点も忘れてはいけない。クルマ酔いしやすい乗員は、助手席か2列目席に限る。すべてのミニバンに言えることだが、ディーラーで試乗する際は、運転席はもちろん、セールス氏に運転してもらってミニバンの重要項目である2/3列目席のかけ心地、居心地も確認したい。購入に際してライバル車が存在するならなおさらである。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★★ペットフレンドリー度:★★★★青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との快適・安心自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ムック本「愛犬と乗るクルマ」(交通タイムス社刊)好評発売中。
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