2006年にデビューしたトヨタ『エスティマ』3代目が、10年の時を経て表情を一変させた。6月30日、木更津での取材会でこのエスティマのチーフエンジニア・水澗英紀さんが、メディアたちを前に“成長記”を語った。以下は、水澗さんの5分間連続トークだ。「いまの日本において、ファミリーカーといえばミニバン。そのきっかけをつくったのは間違いなく初代のエスティマだったと思っている。いっぽうで、いろいろな3列車が世の中に出てくるなかで、経済性や実用性を兼ね備えたキャブワゴン、つまり箱型のミニバンが現在の主流」「そんななか、エスティマをマイナーチェンジするにいたり、いまの時代におけるエスティマの存在意義はどこにあるかを考えるのが私の仕事。初代モデルを振り返ると、これは運動性能と居住性を両立させる画期的なパッケージングや、近未来を想わせるようなスタイリングで、ワンボックスの常識を覆したクルマといえる」「2代目は、乗用車系プラットフォームを共用化しながらも、『プリウス』に次いでハイブリッドユニットを搭載したり、エスティマとえいば流線型というスタイリングを確立したクルマだった」「現在の3代目のモデルは、そのスタイリングのなかに超ロングスライドと床下格納という優れたパッケージングで、使い勝手のよさを高次元で実現させたクルマ。いまでもこの魅力は色あせず、他車に劣らないと思っている」「そういうなかで、エスティマの商品力強化に向けてどうするか。で、ほかのミニバンにはないスタイリッシュで洗練されたデザインこそが、いまの日本でエスティマに求められていることだと考えた」「外観デザインでは、向こうから走ってきたときに、ひと目でエスティマだとわかるフロント周りに仕立てた。しかもそれが最新のエスティマだとわかる剛性と存在感をしっかりと与えて。もちろんエスティマならではの先進感も入れ込んだ」「正直言うと、最近のエスティマは少しアグレッシブな方向へと進んでいた。ここでもう一度、エスティマらしい、面の美しさ、フォルムの美しさを考えながらデザイン。同時に、フロントのサイドビューでは、少し顔つきをグッと上げて、前後に伸びやかなスタイリングを確立させた」「内装では、最近どのクルマも内装がよくなってくるなかで、エスティマの車格、イメージにふさわしい質感にこだわった。インパネまわりなどを大幅に変え、商品力を上げた」「そしてツートンカラー。もともとピラーが黒だったが、今度はルーフを黒にし、ミニバンとは思えないようなワイドアンドローのフォルムに仕立てた。外観は赤なのに、インナーパネルはすべて黒という点も、これまでになかった新しいカラーリング。ぜひ乗って確かめてほしい」「最後に、走り。足回りもだいぶ手を入れて、エスティマのブランドイメージにふさわしい乗り心地、ハンドリングをブラッシュアップさせている。新しいデザインというのは古くなるが、美しいデザインは古くならないという言葉がある。エスティマは、唯一無二の美しいミニバンとしてこれからも存在し続けるはず」---この改良型エスティマは、トヨタ車体 富士松工場で生産される。ガラッと変わったフロントデザインとツートンカラーのワンモーションフォルムが、木更津ののどかな風景にどう溶けこむかは、36枚の写真とともに見ていこう。
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