淀川製鋼所は、2022年10月までに解体された中銀カプセルハウスビルのカプセルの1つをトレーラーハウスに再生。5月25日に東京ビッグサイトで開幕した「東京トレーラーハウスショー」でお披露目した。
中銀カプセルビルは、黒川紀章の設計によるカプセル型の分譲マンション。1972年に 東京都中央区銀座で竣工した。黒川紀章はじめ、当時の日本の若手建築家たちが開始した建築理論・建築運動「メタボリズム」を代表する建築として知られる。そのデザイン性が国内外で高く評価されたものの、老朽化などの理由により2022年に解体された。
カプセルトレーラーは、中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトが取り外した23カプセルの1つを淀川製鋼所が取得して製造。工学院大学建築学部教授でアトリエオーピーエーの鈴木敏彦氏の協力を得て作られた。
トレーラーの車台は、カプセルの大きさに合わせ、一般のコンテナを運ぶものよりやや小さめの特別なものを採用。これにより、積載重量を軽量化する必要があり、壁や天井の仕上げなど一部構造体を間引くことでトレーラー化に成功した。
一方で、室内の家具などは極力、オリジナルのまま残した。そのために、他のカプセルからも使えるものを探し集めて再現したという。
中銀カプセルハウスビルは、元来、「ホモ・モーベンス」をキーワードに作られた集合住宅。ホモ・モーベンスとは、交通や通信が発達した社会で新しい価値や情報を求めて移動する人々、という意味だが、トレーラーハウスとなったことで、より本来のコンセプトを加速させたものとなった。
会場にはカプセルトレーラーを模した市販モデルも展示。こちらのボディは厚さ6cmのCLT材の6面体となっているのが大きな違いだ。木製とは言え、剛性はしっかりとしており、耐候性の高い塗料で塗装済み。中はログハウスような雰囲気で、断熱材を使わずとも、ある程度快適だ。
中銀カプセルハウスビルの室内を再現したレイアウトにできるのはもちろん、車中泊仕様やサウナトレーラー化など、購入者の好みに合わせてアレンジ多彩だ。
このトレーラーは、ニューノーマルの暮らしをデザインする「ヨドコウプラス」ブランドで展開していく。