制作側の自信、販売側の信頼…HKSハイパーMAX Gの完成度 | CAR CARE PLUS

制作側の自信、販売側の信頼…HKSハイパーMAX Gの完成度

レストア インタビュー
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HKS 自動車開発部6課 課長 今井達也氏
  • HKS 自動車開発部6課 課長 今井達也氏
  • 制作側の自信、販売側の信頼。HKSハイパーMAX Gの完成度。
  • 上質な乗り心地とハンドリングを実現したHKSハイパーMAX G
  • ダンパーの素材から切削加工を施したシリンダー部
  • 切削加工からハウジング溶接、PNEコートを施したシリンダー部
  • スプリング部の元となる線材からコイリング、熱処理を行っている
  • 端面研磨を行い、耐久性を向上させるショットピーニングという噴射加工を
  • 最終工程で粉体加工を行い製品化される
サスペンションキットといえば車高調、そんなイメージが依然として強くあり、ユーザーのニーズも車高調人気が高かった。

それを受けてHKSでもレースやタイムアタック向けのハイスペックなものから、ストリートをターゲットとしたコンフォートなものまで、車高調で実績を作ってきた。そして性能を突き詰めるため、ダンパーもスプリングも内製で、徹底的な作り込みが行われている。それが完成度の高さ、製品の安定性、信頼性には高い評価へとつながりハイパーMAXのブランドを作り上げている。では、なぜ今、純正形状のハイパーMAXを発売したのだろうか。

◆より多くの人たちに知って欲しい。サスペンション交換のメリット。

「ハイパーMAX Gは、より多くの人にハイパーMAXの良さを味わってほしい、というところから始まったんです。そしてディーラーを通した販路の拡大というのももちろんあります。我々がターゲットとしているのは、ひととおり車高調などのサスペンションキットを経験してきて、メリットもデメリットも知っている方。それと、サスペンション交換が初めてのビギナーさんなんです」とHKS自動車開発部部長 取締役の坂詰達也氏。

続けて「例えば、スキー。むかし私がやっていた頃はレーサー風の長い板にレーサー仕様のブーツが流行でした。それでゲレンデをやせ我慢して滑っていたんです。なので、もっとゲレンデに合った滑りやすい板を用意しようってことなんです」。

◆ラインナップ拡充を目指し開発を続ける

当初はトヨタ『アルファード』用として開発を始め、続いてトヨタ『86』/スバル『BRZ』に展開。現在トヨタ『ボクシー』用とトヨタ『プリウス』用を開発中。アルファードの開発を担当した自動車開発部6課 主任の矢部さんは、「HKSで車高調は単筒倒立式にて製作しているので、純正形状のハイパーMAX Gでも採用することにしました。特にストラットタイプのサスペンションはブレーキをかけたときやコーナリングでダンパーに縦方向、横方向の曲げ力がかかります。倒立式は曲げ剛性が高くなりますので、ダンパーのピストンにかかるフリクションも少なくでき、よりスムーズなサスペンションの動きを作ることができるんです」。

実際に走らせた印象でも足元に剛性感があるというか、しっかりしている。それでいてしなやか。矢部さんの目論見はみごとに成功している。このサスペンションの成功によってハイパー MAX Gのコンセプトが固まり、86用の開発につながったという。

◆上質な乗り心地は当然の事、ハンドリングにもこだわる

「ハイパーMAX Gのコンセプトは上質な乗り心地だったのですが、86は乗り心地だけではだめなので、ハンドリングのチューニングに苦労しました。法律上、車高はフロント10mm、リヤ14mm程度しか落せないんです。

車高の制約の中でどうやって操縦性を高めるか。HKSではバネを内製していますので、バネレートを自由に設定できるのが強みなんです。そこで、純正から50%アップくらいのところを目安にして100g単位でバネの試作を繰り返し作りました。じつは、バネレートが同じでも、バネの形でフリクションが変わり乗り心地や耐久性が変わってくるんです。車高調をセッティングするより時間がかかりました」とは86を担当した自動車開発部6課井垣さん。

86用の美点は、上質な乗り心地と操縦性、特に限界領域での素晴らしく穏やかなコントロール性だと思う。もちろんその手前でも素直でクセのない操縦性を持っている。86に次いで現在開発しているのがノア/ボクシー用とプリウス用。

担当の自動車開発部6課の大森さんは、「プリウスのTNGAボディは、明らかにボディ剛性が高いんです。ですから足回りを動かしやすい。ボディ剛性の高さを生かしたサスチューンがプリウス用の特徴です。ただ、ダートも乗り心地良く走れるようにという指示があって、…じつは軽く考えていたんですが、いざテストをしてみるとすごく深いんです。バネもダンパーもソフトにすれば乗り心地がよく出来そうですが、バネは柔らかめ、ダンパーは硬めにセットしたほうが乗り心地が良くなるんです。プリウスのサスチューンにはそんなノウハウも込められています」。

大森さんはノア/ボクシーも担当しており、「ノア/ボクシーは、なによりもフル乗車とひとり乗りの両立がたいへんでした。フル乗車にすると前後バランスも変わってしまう。重さを変えながらバネレート変更→ダンパー調整→バネレート変更の繰り返し。仕様はほぼ固まり最終調整に入っています」といった具合に、各担当者それぞれの思い入れが強く、製品のチューニングに反映されているのが分かる。

◆販売店からも高評価を得るハイパーMAX G

試乗会に参加していたトヨタディーラーの方に話を聞くと、ネッツトヨタ東埼玉エリア86マスタースタッフの高木さんは、「いままで乗った純正形状のサスキットの中で一番いいですね。純正+αじゃなく、純正より純正らしい。車高を落としたくないお客様、高速道路を頻繁に走るお客様に、プロとしてお薦めできます」ととても好評。

また神戸トヨペット・エリア86マスタースタッフの奥村さんは、「突き上げや乗り心地など、純正の気になるところがサラッと良くなっています。私たちは、保安基準をクリアするのであればお客様のニーズにできるだけ応えたいと考えていますので、HKSのハイパーMAX Gはすごくいい商材だと思います」。

また、三重トヨタ自動車エリア86鈴鹿のマスターフタッフを務める田中さんは、ノーマルの、もう少し…というところ、例えばロール(の大きさ)や突き上げなどデメリットを巧くクリアして乗り心地が良くなっています。86用なら、18歳から60歳まで幅広い方々に提案できると思います」といった具合に好評。

純正形状というと、なんとなく車高調より格下で、作り込みもそれなり…という風潮がある中、単筒倒立式の内製ダンパーと内製スプリングを使い、車高調開発以上の熱でハイパーMAX Gが作られているのが分かった。もちろんそれは乗り味に反映されていて、乗れば誰もがすぐに良いとわかるくらい、圧倒的なクオリティに仕上がっている。

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《斎藤 聡》

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