長野県飯田市、中央自動車道の飯田ICからほど近く、のどかな田園風景が広がる中にヨーロッパのカフェとガレージを思わせる瀟洒な建物が姿を現す。道を挟んで併設された鈑金工場に「相互車体」の文字が無ければ、自動車修理工場だと分かるのにちょっと時間を要する佇まいだ。◆遠方からもファンが訪れるお店相互車体(内山嘉彦社長、長野県飯田市中村75番)は、地域に根ざして30年を迎える老舗で、地元ユーザーからの信頼も厚い、いわゆる“街のクルマ屋さん”。だが一方で、遠方から愛車を持ち込むファンも数多い“コア”なお店でもある。その理由は、同社が10年以上前から力を入れるクラシックカーの修理と整備にある。会社として日々勉強を続けながら、入手ができない部品は近くの工場で作るなど徹底したこだわりで、同社の内山社長をして「直せないクルマは無い」と言うように、時間がかかったとしてもキッチリと丁寧な修理を行う。また、「旧いクルマの修理も、今のクルマとあまり変わらない料金にしている。クラシックカーと言っても、ほとんどのクルマがもとは大衆車ですから」(内山社長)という、“時間が止まった”かのようなリーズナブルな料金も大きな魅力のひとつだ。◆ひち味違う相互車体の「レストア」旧いクルマの修理を得意とする相互車体では、ユーザーからの依頼で「レストア」も数多く請け負う。取材時にも、新たな生命を吹き込まれるのを待つ車両が入庫中だったが、レストアに関しても“相互流”のちょっとしたこだわりがあった。「ウチでは部品の調達や簡単な修理など、できるかぎりお客さんにお願いすることにしています」と語る内山社長。「わざわざレストアしてまで乗るということは、『一生の宝』にするということだと思います。ずっと乗り続けて、維持していくわけですから、お客さんにもレストアの過程に積極的に関わり、クルマに接してもらうことで、本当の意味で“愛車”にしてもらいたいんですよね」と続け、そのこだわりの意図を説明してくれた。さて、入庫中の車両の中でも度肝を抜かれたのが、ホンダの「Z」という旧い軽自動車。実に50年近く前の車両だ。これは20代の技術職の青年が、全国のクルマ屋さんを探してやっと手に入れ、同社にレストアの依頼をしたもの。現状は、エンジンも内装も足回りも全て外された状態なのだが、「エンジンはウチで降ろしてあげたけど、他はほとんど自分でやってもらってる」と内山社長が話すとおり、ほとんどの部分をオーナーの青年が行ったのだという。また、バイクのエンジンをバラして組み立てた経験があることを聞きつけた内山社長は、「空冷エンジンだから、そんなに難しくないし、できるところまでやってみなよ」と、エンジンのオーバーホールについても青年に任せてしまった。もちろん、ユーザーの持つレベルに合わせてのことだが、他ではなかなか考えられない手法だ。「さすがに、わからない時はいつでも持ってきなさいと言っていますよ(笑)。でも、1/1のプラモデルみたいで楽しいでしょ?」とイタズラっぽい笑顔を見せる内山社長。実は、その言葉の裏には、「“愛車”という言葉が失われつつある時代に、クルマ好きが気軽に集まれる場所をつくりたい」という強い想いがあり、その想いに引き寄せられるように、たくさんのユーザーがこの店を訪れる。そして、今日も相互車体では、いつもと変わらない、のんびりとゆったりした“居心地の良い”時間が流れるのだ。
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