純正ナビのままで始める“お手軽”カーオーディオ・スタートプラン。その4 「簡単デッドニングにトライ!」 | CAR CARE PLUS

純正ナビのままで始める“お手軽”カーオーディオ・スタートプラン。その4 「簡単デッドニングにトライ!」

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純正ナビのままで始める“お手軽”カーオーディオ・スタートプラン。その4 「簡単デッドニングにトライ!」
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カーオーディオの音を今よりもっとよくするための“スタートプラン”をご紹介している。今回は、“純正ナビのまま”、“低予算で”という前提条件を設けて、できるだけお手軽な方法を考案している。連載の4回目となる今回は、「デッドニング」をテーマにお贈りする。


■クルマのドアの、音響パーツとしてのコンディションを上げる作業、それが「デッドニング」

「デッドニング」という言葉は、狭義には「ドア内部の音響的なコンディションを整える作業」のことを差し、広義には「車内の静音化作業全般」を差して使われている。どちらに関しても、徹底的に行おうとすると相当に大がかりな作業になってしまうのだが、お手軽に行ってもなかなかに効果的。純正システムのままで、まずはこれから手を付ける、というのもアリだ。

では早速、具体的なお薦めメニューをご紹介していこう。最初は、「ドア内部の音響的なコンディションを整える作業」においての初級的なやり方を解説する。

なお、「ドア内部の音響的なコンディションを整える作業」は、市販スピーカーに交換する際には、必ず行うべき項目である。スピーカー交換とセットだと考えよう。その理由は以下のとおりだ。

カー用のスピーカーはスピーカーユニットだけで販売されている。そしてその状況では、まだまだスピーカーとしては半完成品の状態だ。ホーム用のスピーカーはスピーカーユニットが箱に装着された状態で売られている。箱にもさまざまな工夫が施されていて、箱も含めてスピーカーなのだ。カーオーディオにおいても、箱を作り込んで初めて、スピーカーとして完成させることができるのだ。

箱を作り込む作業が、「デッドニング」というわけなのだ。クルマのドアはそもそも音響機器として設計されていないので、音響パーツとして機能させるためには、コンディションを上げていく必要がある。高額なスピーカーほど、その性能を引き出すために手の込んだ「デッドニング」を施すべきだ。そうしないと、せっかくの優秀機が、宝の持ち腐れとなりかねない。


■純正スピーカーに対しては、部分的な「デッドニング」でも効果を発揮。

そして「デッドニング」は、スピーカーが純正品のままのときでも、効力を発揮する。純正スピーカーの性能がそれなりなので、大がかりな作業をする必要はないが、軽くやるだけでもある程度のサウンドクオリティの上昇は見込める。

例えば、オーディオテクニカから、『ドアチューニングスターターキット』(税抜き価格:4000円)なる製品が販売されているが、これあたりを使うと、費用的にも作業内容的にもお手軽に行える。

当キットには、あらかじめ適度な大きさにカットされた“制振材”と、2枚の吸音材が入っている。“制振材”は、鉄板の共振を止めるための部材であり、“吸音材”は、スピーカーの裏側から発せられる音エネルギーを吸収するための部材だ。

ドア内部の鉄板は、とかく共振しがちだ。特に、低音に反応して共振してしまう。鉄板が振動すると、スピーカーから発せられる音を濁らせる。ひどいときにははっきりとしたビビり音を発してしまい、耳障りなことこの上ない。しかしながら“制振材”を貼ることで、そのような弊害を防止する効果が期待できる。

“制振材”は、スピーカー回りの鉄板の、平らな部分に貼っていく。手で叩いてみて、軽い音が響く部分に貼っていくのがコツだ。強度の弱い部分を見つけて、そこに貼り付けていこう。

そして“吸音材”は、共振の原因に対処するために使用する。ドア内部の鉄板をビビらせる原因は、スピーカーの裏側から発せられる音にある。“吸音材”を貼ってそれを吸収し、音エネルギーがドア内で暴れるのを未然に防ごうとするわけだ。

スピーカーの裏側から発せられる音はさらに、鉄板で跳ね返りスピーカーに当たってくる。そうすると、スピーカーの動きにストレスがかかる。“吸音材”を貼ることで、それをも緩和可能だ。

これだけの作業でも、音がすっきりとしてくるはずだ。費用対効果は高い。また、スピーカーを交換するときのための下地作りにもなる。やっておいて損はない。


■まずは車内を静かにして、快適性を上げるというアプローチもアリ。

「静音化作業」も、お手軽に部分的に行ったとしても、ある程度の効果が見込める。室内の足元や、トランクフロアなどの鉄板に、“制振材”を適度に貼っていけば、走行時の静粛性が上がっていく。

鉄板にアクセスするためには、内装パーツをある程度バラさないといけないので、DIY初心者にはハードルは低くはないが、バラシさえクリアできれば、あとはそれほど難しい作業ではない。

なお、部材はカー用に売られているものを使うようにしたい。クルマの中は、もろもろ条件が厳しい。温度変化の幅も広いし、場所によっては雨水も入ってくる。さらには難燃性も必要だ。耐久性の高い素材をチョイスすべきであり、同時に、安全性の確保の観点でも、車内環境を考慮した部材を使うべきなのだ。

さて、“制振材”を貼る作業においてのコツは、以下の3点。1つ目が、「広く平らな部分に貼っていくこと」、2つ目が「部材を貼る部分の脱脂を十分に行うこと」、3つ目が「しっかりと圧着させること」。

ブレスラインが入っている場所や折り曲げられている部分は、その凹凸が補強の役目を果たすので共振しにくいのだが、平らな部分には補強がないので共振しやすい。なので、広く平らになっている部分に狙いを定めて作業をしていこう。

そして、貼ろうと思う部分のクリーニング(脱脂)を丹念に。そうしないと“制振材”がはがれやすくなってしまう。“制振材”がはがれて、それが異音を発することにでもなれば本末転倒だ。市販のブレーキクリーナー等を使って、油汚れを取り除いてから作業を進めよう。

その上で、“制振材”を貼ったらヘラなどで十二分に圧着させる。圧着させるほどに制振効果は高まっていく。ごしごしとしつこいくらいに圧着させたい。

車内の「静音化」は、カーオーディオの音質アップにダイレクトに効くわけではないが、静かになれば音楽が聴きやすくなるばかりか、単純に快適性がアップする。まずは試しに、部分的にやってみるとその効果を実感できるし、DIY的な面白さも味わえる。興味があればぜひともトライしていただきたい。


次回は、これまでのプランと比べると少々予算面でのハードルは上がるのだが、効果の大きな、「サウンドチューニング機能の追加」について解説したいと思う。乞うご期待。
《太田祥三》

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